『スター・トレック』

ちょっと暇な時間が出来てきたのでちょくちょくブログを更新します(多分)。

スター・トレック』は、CMと言い、カタカナの変な字体と言い、何かやる気がなさそうなので期待していなかったのだが、観て見るとなかなか面白かった。やはり「宇宙」というだけで腰が引けているのだろうか。日曜に見たが、劇場は3分の2くらいの入りだった。
とにかくノリが軽く重厚さがまったくない。かと言って「軽薄」というわけではなく、人物の性格もキチンと描かれているし、今までの膨大な作品群も研究しているみたいだし、新時代のST創造に真面目に取り組む意志は感じる。


とにかく入りが悪いみたいなのだが、日本のアニメにも目配せしている節もあるので、アニオタも観るべきではないかと思った。
若き日のカークがバイクに乗りながら建造中の巨大なエンタープライズを眺めてるという構図は、何かのアニメで観たような懐かしい風景に思えた。
また、今時ありえないようなベタなギャグにも驚かされた。
気になる女の子の前でカークがケンカを始めるのだが、相手に殴られて勢いあまった主人公の腕が心配する女の子の胸を鷲掴み、「何すんのよ!」と女の子にも殴られる・・・て一体いつ時代のギャグだよ!
他にも司令室でスポックを初め一同が敵の出方を真剣に思案している時にキャプテンでもなんでもないカーク(この時点でのキャプテンはスポック)がいつの間にかちゃっかりキャプテンの椅子に座っててスポックに突っ込まれるとか。
その他細かいギャグが結構あるのだが、これらが皆80年代くらいまでのアニメを想起させ、やはり狙っているのではと思えた。


考えてみると悲劇的な話でもあるのだが、観た後の印象は明るいイメージで、その理由ははエンタープライズ内が極めて明るいこともある。司令室はまばゆい光に満ちている。または白いイメージでもある。


後で改めてロバート・ワイズの『スター・トレック』を観直してみたのだが、司令室があまりにも暗いので驚いた。画面の半分くらいは真っ暗、俳優は感情を抑えて呟くように話すし、まるでお通夜みたいな雰囲気である。これは無論ワイズ監督が映画としての重厚さを追求した結果でこれはこれでありだと思うが、色んな意味で新生『スター・トレック』と対照的だった。


もともとSTは楽天的な未来を描いた。『宇宙大作戦』の時代のアメリカも決して順風満帆な時代ではなかった。アメリカの地位、価値観が大きく揺らいでいる今、この明るい成功物語は新たな価値観を生み出すのだろうか。


ところでエンドタイトルで不覚にも目頭が熱くなった。往年のナレーションの再現までは予想してたがあそこまで盛大にやってくれるとは思わなかった。あの二昔前の科学図鑑に出てくるようなケバい色彩の宇宙、子供が頭の中で空想を巡らせた宇宙がそこにあった。