今更ながらアニメ『侵略!イカ娘』は傑作だった。

ところで、最近TVアニメを観ていて久々に深い感銘を受けた。
言うまでもなく、『侵略!イカ娘』である。3話12回で質を落とすこともだれることもなく、「え、これで終わりなの?」と永遠に続けてほしいと思わせたことは近年にない快挙である。TVアニメに限定すれば『涼宮ハルヒの憂鬱』以来の傑作だと思う。
イカ娘の髪(触手)が妖女ゴーゴン如くワラワラと動く出す様を見ると、本来動かざるものが動くというアニメが本来持っている原初的な驚きを感ずることができる。
触手もよく動くが、表情の動きも豊かである。イカ娘はワンシーンで表情が4,5回変わることもあり、生き生きとしている。素朴なストーリーにも関わらず、何度見ても面白いのはTVアニメのレベルを超えた動きの良さによるものである。
表情と動きの良さで言えば、「ささないイカ」と「野球しなイカ」が良かった。少女の傘にまつわる妄想を描いた「ささなイカ」は、ちょっと『ミトン』(ロマン・カチャーノフ監督)を彷彿させるところがあり、アニメ史に残る出来栄えではないかと思った。
また、どうでもよいことだが、第一回のイカ娘が海から登場するシーンの擬音から、明らかに『ゴジラ』を思わせる演出をしているが、最終回で山根博士の有名なセリフを引用するに及んで、やはりイカ娘=ゴジラという意図だったのかと、スタッフの教養の深さにも思い至った(脚本は横手美智子なのでこれくらい当然か)。