第26話『平和の戦士は死なず』(つづき)

が、その時、一瞬のうちにランプが全て消える。ええ、と司令室一同。「ミサイル発進中止、ミサイルと思われたものはレーダーミスである。」一気に憔悴するネビル。
009「これはどうしたことだ?」006「ミサイルパっと消えたあるよ。」「001、どうした?」001「今ミサイルが消えたとき、嫌な気分になったんだ・・・」
ミサイル指令センター。
ランプを見つめるネビル。ランプが点灯していく。ボタンに手をかけるネビル。16のランプが点灯し、ブザーが鳴る。観念してボタンを押すネビル。次々とミサイルが発射される。太平洋を越えてミサイルが飛ぶ。ギリシャ正教教会の上に、公園で遊ぶ少女の上に、幸せそうなカップルの上に、農場で働く人々の上に、閃光が走る。ウラーのミサイルもパブリックに飛んでいく。次々とボタンが押されていく。エッフェル塔、ロンドン塔、日本の国会議事堂も破壊される。世界中にキノコ雲が炸裂する。
火の海の中でネビルは叫ぶ。「キャサリン!」
キャサリン、火の海の中で血とケロイドにまみれて立っている。「パパ・・・」父に救いを求めるが、力尽き目を剥いて絶命する。

「うわああー!」ベッドから飛び起きるネビル。自宅の寝室である。
キャサリン「どうしたの?パパ。うなされていたわ。」
「恐ろしい夢を見た・・・しかしいつ本当になるかも知れん。世界が火の海に・・・その口火を切るのは私の手だ!」「キャサリン!もしも、もしも戦争になって私が敵国の人間を一度に何百万何千万と殺したら、お前は私を勇敢な軍人と褒めてくれるかね?それとも人殺しと罵るだろうか?」
冷徹な目で父を見つめるキャサリン
ウォールタイムズを読むギルモア「どうも分からん、分からんがパブリックとウラーはいよいよ熱くなってきよった。正に一触即発と言う奴だ。」新聞の写真を覗く001。
「この写真だ、いやーな気がする。」パブリックの軍人の傍らに女の子の人形が映っている。
003「人形がどうかしたの?」あのミサイル指令センターにあった人形だ。
001「その人形を見ると僕の脳神経が痛むんだ。そうだ、ミサイルが消えた、あの時と同じ感じだよ。」
ウラーのスパイ機V2が撃墜される。もはや両国の敵対は決定的と思われる。新聞に載っていたV2のパイロットの写真の傍らにはまたしてもあの人形が映っていた。001「やっぱりあの人形があやしいよ、あいつにはなにか分からないが恐ろしい悪の力が住み着いてるよ。」
009は001と真相を確かめるためにジェットでパブリックに飛ぶが、その途中、009とジェットは消えた!001を残して。「009は四次元跳躍に巻き込まれてしまった。僕はひとまずドルフィン号に戻ろう。」頭の切り替えの速い001であった。
(つづく)