第18話『我が父は悪魔の使徒』

脚本/小沢洋 演出/宮崎一哉
内政干渉シリーズ第2弾。
バルカン半島に位置するハトランド共和国のハルク大統領は戦争放棄を宣言し、反対派を抑えて軍備の完全撤廃を断行する(ハト派だからハトランド。モデルはアルバニアか?)。しかしその直後、ハトランド共和国はあらゆる国との国交を断絶し、内情がまったく分からなくなる。それから3ヶ月・・・
007は浮浪者同然の若者、ゴーチェと知り合う。彼は何者かに命を狙われていた。ギルモア研究所にかくまわれたゴーチェはハトランド共和国のハルク大統領の息子だと打ち明ける。留学先(ここでアメリカのラシュモア山が出てくる)で共和国の鎖国政策を知った直後、送金も情報も止まりおまけに命を狙われるようになり、流れ流れて日本に不法入国してきたのだという。国内で一体何が起こっているのか、ゴーチェにも分からなかった。
009は、ちょうどイスタンブールからバルカン山地へトラック運送をしていた004に調査を依頼する。国境から向こうの街には灯が灯っていない。衛星写真で見たらハトランドのところだけ真っ黒になっているのだろう。密入国して牢獄に入った004はこの国の現状を目の当たりにする。牢獄の囚人はアウシュビッツ収容所のユダヤ人のようにやせ衰え死にかけている。聞けば国内の工場は全て兵器工場になり、若者は強制的に劣悪な環境で働かされ、抵抗批判すればこうして牢獄行きなのだという。さらに組織的な抵抗活動家は即刻銃殺、縛り首である。
004の報告を聞いてゴーチェ愕然。「嘘だ、平和主義者の父がそんなことをするがない!」「お前の父親はとんでもない戦争キ○ガイだ!」真相を確かめるために9347がハトランドへ飛ぶ(もちろん密入国だ)。
中央広場にてハルク大統領が何万という民衆を前に「最新の兵器で世界を制覇し、大ハトランド帝国を築くのだ!」と演説するのを目撃する。もはやならず者国家決定だ。
粗末な隠れ小屋で一同がっくり。「もっとも尊敬してた父がもっとも軽蔑すべき人間に成り下がってしまった・・・。」号泣するゴーチェ。
003、月を見て「あの美しい月のように、ハトランドが美しい平和な国に戻ることをゴーチェのために祈るわ・・・」と慰めると、ゴーチェ「ありがとう、フランソワーズ」と003の肩を抱いて月を眺めるのだった。馴れ馴れしすぎる・・・。
そうこうしてるうちにも抵抗派の若者は次々と囚われては銃殺される。地下の抵抗派のアジトでは幹部が円卓をかこんで討議していた。その中にはゴーチェもいた。「やはり・・・大統領暗殺しかあるまい!」「その爆弾を仕掛けるのは僕にやらせてくれないか!官邸の間取りを知っているのは僕だけだ。」とゴーチェ。「しかしそんなむごい役を君にやらせるわけにはいかないよ。」「父が犯した罪の償いを僕自身でつけたいんだ!」悲壮な決意をするゴーチェ。おいおいほんとに子供向けのアニメか?
予想がつくと思いますが、大統領は偽者なんだけど、せめてクローンとかSF的な小道具とかはないのか。こんなしょぼい陰謀で命を失った人々は浮かばれない。平和主義者は即軍備撤廃で、軍人は即世界侵略って話が極端過ぎるのは、まあそこがアニメならではか。しかし小国ではこういう極端な政変もあると思う。