第4話『宇宙魔人』

脚本/伊上 勝 演出/勝間田具治
豪華客船ミスオーシャン号。一等客室で黒人夫婦がくつろいでいる。
「あと二日で懐かしいアフリカの土が踏めますわ。」「ストックホルムからニューヨーク、そしてハワイ。君も疲れただろう。」「いいえ、あなたの研究がノーベル物理学賞を頂いたんですもの。うれしさと喜びで疲れなど忘れてしまいましたわ。」コンコン。「カムイン」「失礼します。バーボン博士に電報が入っております。」「きっとお祝いの電報ですわ。」電報を読む博士。「!」
’CONGRATULATION DR,BARBON TO GET THE NOVEL PRIZE. I SHALL CALL ON YOU TO STEEL YOUR WONDERFUL BRAIN.   SPACE GHOST’
と英語で書いてある。
「宇宙魔人!」ほどなく巨大な円盤が飛来し、客船は竜巻と共に円盤に吸いあげられる。
その後ドイツのヨハネス博士も旅客機ごと円盤に捕らえられる。円盤はついに東京上空に現れ、はるか宇宙から来た宇宙魔人と名乗る。今度は世界的な科学者立花博士を頂く!と宣言。全国民が見守る中、東京タワーを吸いあげていく。TV中継見て唖然とする009は今回はなぜか背広姿。
立花博士を守るために警察、航空警備隊(?)が出動し、東京都内は戒厳令が布かれる。この辺の雰囲気はちょっと東宝映画風である。警官やパイロットの顔が劇画風なのがおかしい。この回まで観てきて気がついたことがある。このアニメは飛行機が出てくるとき、必ず車輪が格納されるところまで描きこんでいるのである。ヘタをすると飛行機の全容よりも車輪の方がリアルに描かれていることもある。飛行機に対する異常なこだわりが感じられる。
このあとの円盤と戦闘機の空中戦があって前半は面白いのだが、ひどいデザインの「宇宙人」が登場する後半は脱力すること請け合い。ただ、警官が機関銃で反撃するとき、ちゃんと空薬莢が放出されつところまで描きこんであることは評価できる。
宇宙人と009が戦うシーンで、動きをスローモーションに見せるシーンがある(加速装置の表現だろうか)。ただカクカク動いているだけなのだが。セルアニメでゆっくり動くように見せるのは結構難しく、いろいろ技法に挑戦しているのが分かる。