NHKBS「カラーで見る昭和初期の日本」

貴重な映像の連続である。戦前の人々を見ると、現代人の体形の変化が見て取れる。着物を着た成人の女性を見ると、五頭身くらいしかないんじゃないか?

ところで後半、恐ろしい映像を見てしまった。
戦争中、米軍は戦闘機にカメラを装備しており、銃撃すると自動的に作動するようになっていたらしい。しかもカラー。その後の戦闘に役立てるためのデータ作りと思われる。
ものすごい速度で、街を、村を、田園を、舐めるように急降下していく。そしてカメラとほぼ同位置から銃撃の閃光が飛ぶ。銃弾は藁葺き屋根の家や走っている機関車にもろに当たっている。浜辺を逃げ惑う人々にも容赦なく浴びせられる。

http://www.youtube.com/watch?v=bQuthoZ25Hw&mode=related&search=

まさに『地獄の黙示録』の1シーンそのままである。これが結構延々と映しているのだが、見ていると、恐ろしいことだがゲームを見ているように感じてくる。撃ち殺されているのは間違いなく日本人なのだが。人間が撮っていない、ということもあるが、見ているこっちまで神経が麻痺しそうな映像に慄然とさせられた。

この特集は、戦前、日本の美しい風物を外国に紹介していたカメラマン三村明氏が被爆後の広島、長崎の撮影を米軍から依頼されるという皮肉な人生をサブストーリーとして観ることができる、秀逸な編集。
それにしても戦前の華やかなころの日本の映像を見るたびに胸が痛む。10年後にああなるとは一般人は想像もしなかったろう。呉港で半分沈んでいる戦艦の図もすごい映像。