『王と鳥』(旧題『やぶにらみの暴君』)映画公開

王と鳥 [DVD]

http://www.ghibli.jp/outotori/theater/

そろそろいいだろう、と考えたのかどうか知らないけれど、『カリオストロの城』のモトネタである『王と鳥』がジブリの手でとうとう劇場公開!
あのカリオストロ城に激似の城が登場するので、驚愕する人もいるかも知れない。

ルパンはこの映画における「煙突掃除夫」であろうか、どちらかというと知恵者である「鳥」の立場だろう。向こう見ずの若者は存在せず、少女に一方的な想いを寄せる歳の離れた「鳥」(=ルパン)・・・と考えると少々気持ちが悪い。
私が『カリ城』に違和感を抱くのは、こういう構図を見て取るからだろうか。もちろん構想、作画ともに文句のつけようのない作品であることは認めるが・・・。
ルパンにないものと言えば、巨大ロボである。マジンガーZに先行して人間搭乗型巨大ロボを出した点でもこの映画はすごい。このロボットはハニワみたいな顔をして一見弱そうだが、演出がうまいので巨大さと冷酷さがよく出ている。
考えてみると、この映画は美少女、追っかけ、ロボット、大破壊と日本のアニメの根幹をなすものがすべて入っており、ひょっとするとアニメおたくはこの50年間、同じところをグルグル回っていただけなのかもしれない。小鳥の可愛らしさも異常。
『やぶにらみの暴君』を未完であるとして、グリモー監督自身が新たにシーンを付け加えたこの『王と鳥』は、返ってジェットコースター的スピード感が削がれたという印象が強い。しかしこのラストシーンの力強さには素直に感銘を受ける。