15日 上野国立博物館にて「若冲と江戸絵画展 プライスコレクション」

Joetip2006-07-18


今回出展の絵画に出てくる動植物たちをちりばめたパンフのデザインも楽しく、やはり若者受けを狙ってるのか。
今や「日本画なんていつも決まりきった画題と型にはまった構図ばっかりで退屈〜♪」なんて言っている人はよもやいないと思うが、まあ確かに画壇とかなんとか派みたいなのがあって、分からないでもないが、洋の東西を問わずオリジナルの手法を編み出した人の絵はやはりすごいとしか言いようがない。
こと、自然、動植物の描き方では、日本の方が自由な発想、感性の飛躍があるのではないかとすら思える。芋虫やカエル、カニの絵を日本人はありのままに鑑賞して楽しむことができる。西洋画は、そういうものを何かの「象徴」としてしか描かないと思う。しかし彼らにしてみれば、その方が精神的に高度な作業と言うかもしれないが。


それにしても伊藤若冲はやはりすごい。頭がおかしいとしか思えない(ほめ言葉)。
昔、荒俣宏氏がよく紹介してた18世紀の銅版画の細密画を彷彿させる異常に細部に凝った絵も描くし、筆でさらっと描いたような絵も描くんだよね。
最近話題の『鳥獣花木図屏風』を初めて目の当たりにした。動物が皆アニメキャラみたいにかわいい、正直笑える。原色を用いた上に「桝目描き」(銭湯によくあるタイル絵みたいな感じ)のこの作品は、現代の作と言われても誰も疑わないだろう。
もっとも一番感銘を受けたのは『紫陽花双鶏図』だが。


この展覧会の企画の一つとして、照明の明るさを変化させると、同じ日本画の色彩がどう見えるのかという素晴らしい試みがなされている。豪勢に見せるために金箔や銀箔を使ったわけではないことが分かる。日光の変化を念頭においた計算があるのである。こちらの企画では、とりわけ『雪中松に兎、梅に鴉図屏風』が渋くて良かった。

出口前で目録(2500円)などを売っているが、もっと奥のほうで大きい売店があるので、慌てて買わないでそっちを回った方が効率がいい(『鳥獣花木図屏風』をあしらった屏風型絵葉書などを売っている)。