『ホテル・ルワンダ』

都内では渋谷シアターN(前ユーロスペース)でまだ上映されています。
とにかくドン・チードルは素晴らしい演技だった。演技というか、もはや彼そのものが素晴らしいというべきだろうか?彼に目を付けたテリー・ジョージ監督もえらい。ストーリー的には単調なものだが(篭城ものだからね。確かに状況設定はゾンビものに近い)、出演者は妻のソフィー・オコネド、子供たちなど皆良かった。白人が全員いかにも頼りなさげなのが正直言って笑ってしまったが(ニック・ノルティジャン・レノホアキン・フェニックスと主役級の人たちが並んでいるのに・・・)、ニックは後半の方で男気を見せるのでほっとしました。
それにしても日本で、突然法と倫理を取っ払ってしまったら、一体どうなるのだろう?と思うことがある。「別に殺してもいいんじゃね?」と思ってしまったら・・・。
ルワンダは取り立てて「民度の低い」国ではなかった。主人公は数ヶ国語ペラペラのエリートで、奥さんは十字架のネックレスをしている。ポールとかコンスタンチンとか、皆西洋風の名前をしている。国民の半数がクリスチャンだと言う。出てくる人はだいたい西洋的な暮らしをしていて、きちんとした身なりをしている。政府軍の将軍もスコットランドでゴルフをしたことがあって「また行きたいなあ」とか言いつつ虐殺に加担する。
政治的解決とは別に、永井豪の『ススムちゃん大ショック』や筒井康隆の『三丁目が戦争です』を連想しました。