第42話『見知らぬ宇宙の相続人(前編)』

Joetip2005-12-05

シリーズ中唯一の前後2部構成。加えてシリーズ中最大の問題作。いや、作った当初はそんなつもりはなかったはずなのだが・・・おそらくこれを今、地上波で放送することはできないだろう。しかしながら傑作であることは確か。


アメリカは東南アジアの某所で戦争に明け暮れていた(ベトナムなんだけど)。戦闘中、敵の銃撃を受け、頭部に弾を受けたが奇跡的に助かった兵士が相次いで4人いた。ミンズ少尉(スティーブ・インハット)、ジェームス・コノヴァー軍曹(アイヴァン・ディクソン)、フランシス・ハドレー上等兵(ディー・ポロック)、ロバート・レナルド二等兵(ジェームス・フローリー)の4人である。この4人は手術中に、2種類の脳波が出るという異変が起こっていた。科学大臣直属秘書アダム・バラード(ロバート・デュバル)はこの4人に出現した脳波がすべて同一のものであることを突き止める。つまりある一つの意思が4人をまとめているということだ。しかも回復は異常に早く、4人のIQは200以上に上昇、しかもこのことが判明している現在、未だ動けないミンズ少尉を除いて煙のように失踪していた!何者かが4人を操り、なにか途轍もないことを企んでいる・・・事態を重く見たバラードはさっそく行動を開始した!
銃弾を受けて超能力に目覚める、というと『ジョジョの奇妙な冒険』の「矢」を思いだすが、この銃弾は特殊なものだった。銃弾の出所を確認するためにバラードは戦乱の東南アジアへ飛ぶ。


東南アジア某所ではネオニワ大尉(ジェームス繁田)が待っていた。ネオニワがゲリラの捕虜から聞き出した情報によると、銃弾の原料はある特定の場所から来ているらしい。ゲリラはその場所を「燃える空」と呼んでいた。「どこにあるんだ?」「ホイ・トン省です。」「さっそく行ってみよう。」「バラードさん!本気で行く気ですか?敵地ですよ?」「チャーリーがサーフィンをするかぁ〜〜!!(別の映画)」
バラードの熱意にほだされてネオニワ軍曹はホイ・トン省へ同行。銃弾は飛び交うわ、密林からゲリラは飛び出して襲いかかるわ、決死の思いで「燃える空」へたどり着く。そこは巨大な隕石孔だった。星野之宣のマンガ『宗像教授伝奇考』によれば、人類が最初に用いた鉄は隕鉄・・・隕石からとれた鉄だったそうである。確かにそれは理にかなっている。地中に埋まっている地層から掘り出すよりよほど手っ取り早い。偶然にも近くに隕石が落ちていればの話だが。
遠い昔、宇宙から飛来した隕石の中で眠っていた「何か」が戦争によって覚醒したのか・・・。


そのころミンズ少尉は厳重な監視の中、あっさり病院から脱走。その足でNY株式取引所へ行くと、先物取引と株で500ドルの元手を1週間で40万5572ドル15セントに増やしてそのまま失踪する(うらやましい)。送金ルートを調べると、ストックホルム、東京、アメリカのウィチタ郡の銀行口座にそれぞれ送金していた。彼がリーダーらしい。


バラードはまずウィチタへ。ここでハドレーは工場施設を買い取り、なんらかの空調装置を作っていたことが判明する。その後ハドレーは薬草を採りに南米で消息を絶つ。


ストックホルムではコノヴァーがとある製鉄所で合金製作の依頼をしていた。彼の試作に基づいて作った合金は信じがたい性能を持っていた。普通の製法では融合しない金属の合金であり、しかも重さは元の金属の90%の重さ(あり得るのか)。彼はこれで乗り物のようなものを作るつもりだ。「彼は優秀だが、気の毒な人です・・・彼は悩んでいる。まるで・・・まるで悪魔がとりついているようだ!」


東京で(ことさら東洋であることを強調していないところがいい)バラードはレナルドと対面する。レナルドは特殊エンジンの製作をしていた。彼は送金してくる人物を知らなかった。必要な知識は頭の中から自然と浮かび、必要な時に送金されるのだ。彼は自分の意思に反して何かに操られているのであり、彼自身苦悩していたのだ。


ミンズ少尉は・・・アメリカのとある住宅地を歩いていると、見知らぬ少年に声をかけられた。少年は彼を見るなり、「少尉さん!」と駆け寄った。
「私に何か?」
「一緒に行く。」
「私と?どこへ?」
「どこでも。」
「遠いところだぞ。」
そのころ少尉のアジトの前では、バラード以下、武装した数名のメン・イン・ブラックの面々が待機して少尉の帰りを待ち構えていた。
この時点で彼らの真の目的が何なのか、正確に分かった人は(すでに見た人を除いて)地球上に存在しないと断言する。