第40話『謎の惑星ウルフ359』

Joetip2005-12-04

はっきり言ってこの作品の発想はすごい。水木しげる先生も、裏庭の池の真ん中の島で宇宙生物が進化していく『宇宙虫』という短編を描いたが、これがモトネタではないか(結末はこちらのほうが納得できる)。ネタ不足のハリウッド映画は、そろそろこの話に着目するかもだ。というか、『フェッセンデンの宇宙』なんだが。


8光年離れた惑星ウルフ359を観測するために、ジョナサン博士(パトリック・オニール)は研究所内にそのウルフ359のミニチュアを作る。隔離した部屋に直径2mくらいの半球が設置されている。観測データに基づいて大気、温度、地質、密度、重力(どうやって?)、太陽(これはライト)・・・全てを正確に再現した。この実験の眼目は、この環境にDNAを投入して果たして生命が誕生するのか?ということなのだが、実験は成功、ミニチュアの惑星の上に植物が育っていく。惑星の表面を顕微鏡で観測すると地表一面が森林で覆われていくのが分かる。ちなみにミニチュア惑星では縮尺は20万分の一(従って顕微鏡で観測しないと見えない)、地球の1秒で11日半が経過する。まあすごい速さで進化が進んでいるのである。


このシミュレーションを基に研究を進めれば、来るウルフ星開発の準備が容易となる。博士は得意満面だったが・・・。ほどなくして、研究所内外で異変が起こる。周囲の植物が枯れ始め、小動物がバタバタと死に始める。その一方、惑星の生物は順調に進化していく。すでに恐竜の時代に入っていた。博士は地球の進化とあまりにも似通っていることに驚愕する。そして、研究所内に奇怪な幽霊のようなものが出没するようになる。このいわゆる「ウルフ359ゴースト」は影絵で言うところの「鳩」に両手を組んだ上にぬいぐるみを被せた、はっきり言って安直なシロモノなのだが、動物的な生の動きができるのが強みだ。


惑星上の生物が進化するほど、ゴーストは巨大となり、生き物は死んでいく。あたかも我々の世界から生気を吸い取っているかのように。恐怖を感じた博士は妻も助手も追っ払い、一人悲壮な覚悟で惑星に対峙して、成り行きを見守る。惑星上では人類が登場し、現実の人類の歴史を再現していた。「明日の今頃、惑星は地球に追いつき20世紀に入ります。その後は・・・惑星を通し、未来の地球を目にするでしょう。生きていれば・・・」


なんとも恐ろしい話だが、これだけ引っ張っておいて結末は結構腰砕けな感じで正直がっかりである。しかしもし、こうした研究が可能だとしたら、もう一つの可能性も考えねばならないだろう。我々が住んでいるこの世界もひょっとして単なる実験に過ぎず、上から顕微鏡で観察されている存在なのではないか?ということである。・・・まあ妄想ですけどね。