第36話『ウルトラ人間』

ウルトラマン」ではなく「ウルトラ人間」・・・まあいいんですが。薬を飲んだら超人に変身し暴走し始める、というだけの単純な話なんですな。しかしここで注目すべきは、この薬=CE(意識拡大)物質があからさまにドラッグ、特にマリファナを連想させることである。1966年、まだ米国では広範な麻薬汚染は顕在化していないと思うが、水面下では広がっていたことを思わせる。
CE研究の一人、東洋系のアカダ先生は恍惚として言う「・・・そもそも幻覚とは何か、我々が日常目にする物と知覚が拡大して見える物、どちらが本物なのかということです。簡単な例でお話しましょう。木の葉が落ちていくとします。CEを飲んだ者にはあらゆる葉の動きが見える。過去も未来もです。種から芽が顔を出し、それが成長していき枯れ果てるまでが目に映るんです・・・」
まあ「神を見た」と言う人もいるらしいですから、こういう幻覚を見た人もいるかもしれませんね。CEの発想は、精神力によって肉体が変容するということからくる。後のクローネンバーグ映画の肉体変容を先取りしているようで興味深い。でもやはりクスリで超人を目指すのはやめましょう。