第35話『二次元からの闖入者』


「闖入者」は「チンニュウシャ」と読むらしい。これはシリーズでは珍しくさわやかな話。異界の知性体との友情を描いたものである。
ストーン光学博士は、隕石から作ったレンズを装着したメガネをかけてみたところ、そこにいるはずのないモノを見てしまう(『ゼイリブ』か?)。それは二次元の世界から来た生物だった。メガネをかけただけで言葉も通じるという都合のよさはさて置くとして、この生物の造形、着想が良い。二次元の生物だから厚みがゼロ、従って横からならばどんな壁もすり抜けてしまうという理屈は正しいかどうか分からんが面白い。
非常識な言動の絶えない変人のストーンと、常識人で面白みのない性格の兄、同じ科学者だが対照的な性格の兄弟。ストーンは生物と仲良くなり匿うが、兄は未知のものは危険だから殲滅すべし!と考える。常識で考えれば兄のほうが正しいと思うが、この作品は徹底してこの兄を悪く描き、生物にシンパシーを感じるストーンをいい人に描く。その偏向ぶりが泣ける。またストーンの秘書のエリザベスを演じたジョアン・フリーマンは『性本能と原爆戦』とかキワモノ専門だったようだが、なかなかの美人。変人に理解のある美女・・・オタクの夢であろう。