今年は引越しやらなんやらでヒマがなかったので、夏休みはブラブラしてることに。で、やはり映画三昧。最近は文芸座と東劇の往復。
金環食
金環蝕 [DVD]
宇野重吉につきる。彼の容姿は必見。他にも「オバケのQ太郎」を読む安田(大楠)道代、西村晃の宴会芸、三国連太郎の代表質問など、俳優の演技は悪乗りに近い。演出はないも同然だが、山本薩夫自体はもっと評価されていい監督。
『拝啓天皇陛下様』
渥美清 DVD-BOX
この映画の渥美清はなんか飼いならされていない野獣という感じでちょっと怖い。長門裕之がインテリの役。奥さんの左幸子がかわいい。短いエピソードをダンゴ状につなげているのだが、役者のキャラが強烈なので印象は強い。上官のイジメで狂う兵隊が『シャイニング』みたいで笑った。結末の文章が強烈、『存在の耐えられない軽さ』のラストはこの映画をパクったのだろう(ウソ)。
八つ墓村
八つ墓村 [DVD]
『拝啓・・・』もそうだが、松竹は戦後の近代化で失ってしまったモノに対する郷愁を描き続けた。これもそのひとつなのかも知れないが、完全に失敗作。ミステリーとしてもホラーとしても中途半端。景色もあんまり綺麗じゃない。音楽だけ良い。
以上の映画に全て主演しているのが加藤嘉
『豚と軍艦』
豚と軍艦 [DVD]
今村昌平のビジュアルセンスが炸裂した傑作。猥雑という概念をきっちり絵で見せてくれる才能がすごい。その最たるものが豚のモブシーン。猥雑と言いながら画面構成は計算されていて、繁華街のセットも迫力がある。俳優は皆キャラが立っているが、やはり丹波哲郎は期待を裏切らない。

『砂の器』と『日本沈没』 70年代日本の超大作映画
最近映画関係の本はほとんど読んでないのだが、文芸座で買った『『砂の器』と『日本沈没』70年代の超大作映画』(樋口尚文)は、私が日ごろ考えてることがまんま書いてあるような本だった。特に山本薩夫監督についてはその通りで、終生共産党員であった山本監督は一方で変に持ち上げられ、一方で変にこき下ろされ、正当な評価がなされていないのではないかと思う。どこかで特集組んでくれないかな。