『アウターリミッツ 完全版 1nd Season DVD-BOX 2』

Joetip2005-06-08


宇宙大作戦
第22話「宇宙植物」
セカンドシリーズから、テコ入れのせいか、宇宙を舞台にした派手な話が多くなる。
宇宙から来た生物が蔓延して地球全体が危機に陥るという、今でいえばバイオハザードを描いた作品。生態系の破壊というテーマにかなり早い時期に着目している。また実物大の宇宙船セットや、宇宙空間での船外活動など、大掛かりなセットが見もの。
宇宙ステーションにくっついていたキノコみたいな物質が数個発見され、船内の実験室で栽培してみたところ、花が咲く。この花、1本だけ見るといかにも作り物感満点で笑わせるが、大量に出てくると不気味だ。というかよくあんなに作ったな、と特撮班の苦労がうかがえる。
しかし宇宙船の乗組員もどう考えても怪しいこの植物を隔離もしないで放置してるし、これを地球に持ち帰ろうとするのだからあまりにも無謀だ。地上の軍隊も何の防護処置もとらず、普通の格好で現場にきちゃうし。まあやはりこの時代、この程度の危機感だったということだろう。地上の司令官の決断は今の感覚なら甘いと受け取られるかもしれないが、結構緊迫する。
ただし結末はハア?という感じ。


第23話「遊星衝突の危機」
遊園地の宇宙船施設が実はモノホンの宇宙船だった、というちょっとジョー・ダンテあたりが好きそうな設定。宇宙人は遊園地内で着ぐるみを装って、負け組感ただよう人たちを選って、乗船させる。そこにはとんでもない目的があったのだ(って邦題見れば分かるんですが・・・)!
結構いい話だと思うのだが、これからって時に話が終わる。脚本が良ければ「ギャラクシークエスト」みたいな面白いものになったと思うのだが・・・というかこんな荒唐無稽な設定ならコメディとして撮るべきだった。予算がなくなって来たのでこの程度でお茶を濁したのだろうか。
いい歳して宇宙船ガイドのバイトをしているしがない男(ドン・ゴードン)がいい。


第24話「月への亡命」
月面のセット、宇宙人の造形とその世界観、主人公がひきずる戦時中の禍根を巡る人間ドラマ、などがうまく組み合わさって見所の多い作品。
アメリカの月面探査隊が、地中から人工物としか思えない直径30cmくらいの球体を発見する。基地に持ちかえる(これまた何の隔離処置もとらないんだよな。無謀だ!)が、実はこの球体の中には・・・!宇宙人がいたのですが、これが地球上のどの生物にも似ていない個性的で不気味なデザイン。このちっぽけな生物が人間から見れば神にも等しい知識を持っていたというのもアウターリミッツらしい皮肉。隊員たちはこの宇宙人と友好を取り結ぶが、彼らは地球で言えば亡命者だった・・・。
しかしなによりもアウターリミッツらしいのは結末の敗北感だろう。無論それゆえ「人間の尊厳」「内心の自由」というテーマが浮き彫りになるのだが。今の米国だったらこの結末はありえない。