『アウターリミッツ 完全版 1st SEASON DVD-BOX 1』

Joetip2005-05-04

♪怪獣、ギャング、宇宙人*1


第13話『太古の魚』
南米サンブラス共和国(特産品コーヒー、公用語スペイン語)はマキュリオ将軍(ヘンリー・シルヴァ)が君臨する軍事独裁国だった。政治家と一握りの財閥が富を独占し。至る所に盗聴、スパイが配備され、民衆は貧しく言論の自由はなかった。
この国の湖で水中探査機の実験を行っていた実業家のデクスターは海底で奇怪な生物に襲われ、これを捕獲する。その生物は古代からインディオが崇拝している神像とそっくりだった。これを知った将軍はこの生物を独占しようと武力をもって押収するが、この生物は常識を超える能力を持っていた・・・。
この怪魚とヘンリー・シルヴァの面構えだけでもう満腹。怪魚の造形はすごいとしか言いようがない。頭が異様にでかい魚の着ぐるみに人間が入り、両手足は外に突き出していて、その手足で這いずり回る。人間が入っていること一目瞭然で、どう考えても子供だましなんだが、これだけ堂々と見せられると、いつの間にか説得力が出てくるから不思議である。軍服姿のヘンリーシルヴァの顔もそれに拮抗するだけの迫力がある。
怪魚が研究室で暴れるシーンは『ガメラ 大怪獣空中戦』のギャオスを思い出した。その後『ウルトラQ』の海底人ラゴンみたいな展開となり、最後はジョン・ブアマン監督の『エメラルド・フォレスト』みたいなアっと驚く結末を迎える。怪魚と人間が本物の水中で格闘するシーン(中の人は大変)もあり、なかなか見所の多い作品である。


第14話『蟻人の恐怖』
ふと思うんだが、このシリーズの邦題はネタバレが多い。確かに昔はネタバレについては寛容だった。予告編でも結構最後の方まで説明しちゃってたからなあ。とにかく蟻みたいなザンディ星人が出てくる有名な作品。
米軍は市民に極秘で実は宇宙人とコンタクトを持っていた。ザンディ星人はかの星の凶悪犯の流刑地として、ここカリフォルニアの郊外の砂漠の一部を明け渡すことを要求してきた。妨害すれば地球全体を破壊する(砲艦外交?)と言うのだから従わざるを得ない。ザンデイ星から第一陣が到着したころ、この立入り禁止地域に逃亡中のギャング(ブルース・ダーン)がやってきて・・・。
前回に続いて性格異常犯罪者役の得意な俳優の登場だが、ブルース・ダーンの使い方はもったいない。一体何のために出てきたのやら・・・。ザンディ星人はコマ撮りで動き、予算の都合上登場時間は少ないが強烈な印象。みんな違う顔をしていてデザインが工夫されている。もっともあんな蟻がなんでそんなに怖いのかよくわからないが。
クライマックスでは大量のザンデイ星人が基地に押し寄せ、『エイリアン2』的燃える展開となる。しかしザンディ星人側には、人間には教えていない秘密の目的があった。いかにも60年代らしい皮肉な結末が待っている。というか我々が普段踏み潰しても一顧だにしない蟻どもにいいように振り回されること事体が皮肉な設定なのだが。
西部の荒野のすさんだ風景がいい感じ。


第15話『クロモ星人』
スタートレック』に出てくる転送装置も初期はこんなことをしていたのかもしれない。クロモ星との友好事業として開発された瞬間移動装置の人体実験*2として、ケランダー博士は終身刑の囚人から志願者を募る。脱獄のチャンスを狙うチノ(ヘンリー・シルヴァ)が志願するが、クロモ星との陰謀に巻き込まれる。
つくづく思うんだが、ヘンリー・シルヴァってすごい顔だよなあ。怖い顔とか醜いとかではなく、なんというか・・・人間離れしてるって言うの?私に言わせるとロン・パールマンと双璧なんだが、この二人がコンビの刑事とか、恐ろしいだろうなと思う(世代が違うのが残念だが)。
13話と違って、悪人だが時に人間らしさを見せる深みのある人間を演じており、昇格したなと感じる。ラストはウェスタン調。クロモ星人はクラゲみたいなグニャグニャ造形で、こういうのが西洋人が嫌悪する外観なのかなと思わせるデザイン。しかし転送されてきた宇宙人を野放しにしとくのはどうかと思う。

*1:このフレーズを知ってる人は相当のオヤジ

*2:スタートレック』でも時々転送に失敗して死人が出てるからな。