押井監督の大予言

リアルなコンピューター社会、サイバーテロ、軍事テロの可能性を予測し、常に文明の1歩先を歩いている押井監督。
イノセンス」は前作を上回る予算を使って前作よりしょぼいストーリーの映画を作るという監督の美意識(?)について行けなかったが、一つ、これは実現するんじゃないかと思うことがあった。
それは一億総うんちくタレ社会だ。「攻殻機動隊」の世界では電脳を脳に直接繋げ、瞬時にネットから情報を得ることができる。殺人現場の写真を脳に送ると、目の前に現場が見えるというシーンがあったが、建前としてはこのように仕事を迅速に行うためのものだと思われる。まあ、頭の中に検索エンジンが入ってるようなものだ。
だが何時でも簡単に情報が手に入るとなると、人はとにかく難しい薀蓄や警句を披露したくなる。案外これは的を得ているかもしれない。そのうちチンピラが「プラトンは・・・」とか幼稚園児が「戦国策に・・・」とか言い出すかもしれない。
こうなった場合、その話が検索したものをただタレ流しているだけなのか、本人が記憶して言ってることなのか、相手は多分分からないだろう。いや、当人にもわからなくなってしまうかもしれない。さらにこのシステムが、簡単に脳細胞に刷りこんでくれるくらい発達していたら努力して勉強するということも意味がなくなってしまう。
ここまでくるともう何が自分の記憶なのか分からなくなり、情緒不安定となり、社会問題になるかもしれない。
だから後半の脳ハッキングによる現実撹乱のような攻撃も可能になったのだろう。正直いって嫌な世界である。
しかしこれは実現するだろう。近いうちに携帯電話今以上に小型になったら、それを頭の中に埋め込むことができるかもしれない。問題は誰が手術をするかだが、携帯やネットと一体になりたい人は結構いるんじゃないか。