「漢字と日本人」

Joetip2004-02-26

以前、書店で「アルジャーノンに花束を」の原書が目に付いたので、パラパラめくって見た事がある。そして愕然としました。「さ、最初の方と後の方の文章の違いが分からん・・・」(英語力ないだけ)
で、思ったんだけどこれが日本語だと、最初はひらがなばかりなのが、後の方になると漢字が多くなってくる、その漢字の画数が多くなる、という風に主人公の進歩がパっと目でみて分かる、こうして見ると、日本語って相当便利な言語ではないでしょうか。内容知らなくても、「な、なんだこれは!」と思うでしょ。この作品が日本で大ヒットしてるのは、その分かりやすさに理由があるんじゃないか?
しかし高島俊男氏の「漢字と日本人」(文春新書)を読むと、日本語というのは、相当奇怪な言語らしい。

次に、漢字を、その意味によって直接日本語で読むことにした。たとえば「山」という字、これを音(おん)でサン(あるいはセン)とよんでいたのであるが、この字のさすものは日本語の「やま」に相当することは明らかであるから、この「山」という漢字を直接「やま」と読むことにしたのである。
これは相当奇抜な所業であり、また一大飛躍であった。
いやまあみなさんは、「山」と言う字を「やま」と読むのはアタリマエとおもってらっしゃるから、それを奇抜ともお感じにならぬであろうが、しかしですよ、ここにmountainという英語がある、これはマウンテンと読んで山のことだとみなさん習ってらっしゃるだろうが、えいこのmoutainを直接「やま」と読むことにしよう、dogを「いぬ」と、catを「ねこ」と読むことにしよう、となったら、これは相当奇抜で飛躍的でしょ?そういう大胆な、見ようによってはずいぶん乱暴なことをやった。

ここで「やま」というのがいわゆる訓(くん)、「さん」が音(おん)である。
著者によるとこの強引な漢字導入のために日本では高度な抽象的な概念が育たなくなってしまったそうである。確かにこうやってワープロにいちいちひらがなを漢字に変換する手間とコストってどうよ・・・と思うと相当不自由な言語なんだが。
この本面白いのでヒマだったら読んでみてください。
ハングル版とか中国語版とかアラビア語版とかの「アルジャーノン・・・」も見てみたいですね(読めないけど)。