「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」(ネタバレあり!)

Joetip2004-02-16

映画「王の帰還」は出来が不安だった。あんなに全編見せ場だらけの密度の濃い展開を3時間ちょっとでできるのか?だって「二つの塔」も終わってないのに(!)・・・。
見終わって見れば、やはり見事な作品だったといえよう。これまでの長編娯楽映画の歴史から見ても(原作がしっかりしているとはいえ)これほど完成度の高いものは見当たらない。品格がありしかも少しも難解ではなく(ストーリー的には)まさに偉業である。
しかし今回に限って、俺のイメージと違う〜と思った箇所がかなりあったことは否めない。やはりそれだけみどころが多かったということだろう。

○良かったところ

1.冒頭、温厚だった頃のスメアゴルのシーンから始まる。彼はいかにして指輪ジャンキーになってしまったのか・・・人の弱さ、人はいかに簡単に堕落するかをマザマザと見せつけられる。この映画に対する監督の覚悟を感じる。

2.総じてフロド一行の描写は良く出来ている。進むにつれて、彼らの顔、身なりがボロボロになっていくのも容赦がない感じで良い。

3.狼煙リレー。これが3,4回で終わるのかと思ったら延々と繋ぐんだよな・・・時間が押してるのに・・・と思いつつ感動した。

4.ゴンドール側の城壁破片攻撃。ウルク・ハイの大将のスレスレに破片がドーンと落下、顔色一つ変えない大将も立派だ。多分「二つの塔」の聖火ランナーのシーンと対になっているんだろう。

5.溶岩の表現がリアル。前作で洪水と来たら次は溶岩。アンタは円谷英二か?

6.じゅう、ナズグル大活躍。あからさまに「帝国の逆襲」のATーATのモトネタはこれだ!と言わんばかりのシーンはちょっとやり過ぎだと思いましたけどね。

7.サムワイズ殿大暴れ。画面左から星のガラス瓶と剣を構えて登場するシーンは燃えました。

8.黒門前の大カタストロフ。

9.ラストシーン

●ええ〜?と思ったところ

1.サルマン。てっきりここから始まると思ったのに。

2.あっさり引くエオウィン。「二つの塔」でエオウィンの「檻です。」というセリフが前倒しで入っていたのでいやな予感がしていたのだが、簡単にアラゴルンを死者の道に行かせてしまった。あの道がやばいというのは皆知ってるはずでは。アラゴルンも決死の旅という雰囲気じゃないし。

3.デネソール公が馬鹿過ぎ。いくらなんでもあれは酷いんじゃないでしょうか。威厳のある人物のはずなのに・・・。適役はやはりジャック・ニコルソンか?ギャラが高そうだけど。立派な人物がサウロンの力に毒されてだんだん狂っていく、自身もそれを自覚しつつもどうにもならず、廟の中に閉じこもり劫火の中で仁王立ち・・・曲がりなりにもゴンドールの執政だった者にふさわしい最後だと思います。彼もある意味指輪の犠牲者だったんです。

4.先陣を切って狂ったようにペレンノール野に突進するセオデン王の勇姿・・・なかった。

5.なしくずしに参戦する亡霊軍団。ゴンドール・ローハン軍はもう本当に追い詰められてさらに海賊の追い討ち、もうだめだ・・・とその時!てな感じでないと盛り上がりません。こうして見ると原作の語り口は本当にうまいと思う。

6.滅びの山での決着のつけ方が今一つ盛り上がらぬ。「いとしいシト〜」と叫んでくれないと(これはid・amasakiiori氏と同意見)。

7.戴冠式は短過ぎるのでは。ファラミアは何時の間に元気になったのか?ホビットたちに全員が土下座、じゃなかったオジギをするというのもどうかと思う。

以上、こんなものでしょうか。こうなっては、スペシャルエディション版3本立て劇場上映してほしいですね。