雑誌「東京人」

Joetip2004-02-15

今月の「東京人」で「東京からなくなったもの」特集をやっていたのは知ってはいたが、読む気にはならなかった。読めば血圧が上昇し、その後に生きる気力を失うことが予想できたからである。 妖女ゴーゴンの目を見るのを避けるがごとく書店を通過していたら、とうとうこの雑誌と目が合ってしまい、しかも一気に読んでしまった(しかも買った)。

そして東京の予想以上の惨状に石化してしまったのだ。
東京を離れて(と言っても隣の神奈川だが)7年くらいになるが、同潤会アパート、丸ビル、文芸座などが消えていったことは認知していた。
銀座の交詢(しゅん)ビルヂングが消えた。日本橋の河岸にひっそり建っていた旧帝国製麻ビルも何時の間にか消え、明治大学記念館が消え(ホントはあんまり好きじゃなかったが今のリバティビルよりはまし)、御茶ノ水の日大理工学部校舎が消え、御茶ノ水文化アパート(ヴォーリス設計とは知らんかったが、跡地には全然人間味のない高層ビルが建った)が消え、六本木の東洋英和女学院校舎(ヴォーリス)も消え、さらに武蔵野自由が丘劇場も(これから)消え・・・その反面、日比谷シャンテシネの向かいにある三信ビルはかなりしぶとい。しかし油断はできない。
そりゃあ私も分別ある大人なので、懐古趣味だけで残せ!などとは言わぬ。高額な地所に手狭でボロい建物では効率が悪いというのもわかる。 それらに代わる斬新で人の心を打つ見事なものを建てれば納得するのだが、そんな建物にはついぞお目にかかったことがない。
あの六本木ヒルズやシオサイトも50年も経って取り壊すとなったら、「芸術的に価値のある建築を簡単に取り壊すな!」と反対運動でも起こるのだろうか?ズバリ言って、まず起こらないだろう。あれは、映画で言えば「アルマゲン」みたいなものなのだろうと思う。「アルマゲドン」がヒットしたからといって50年後に記憶されているだろうか。いや、いない。建物も映画も、集金と効率重視では心は萎えます。愛のないシロモノは御免だ、と言いたいですね。