2/6 「円山応挙展」

Joetip2004-02-07

大江戸博物館で開催している「円山応挙展」へ行ってきました。
日本画の巨匠というか・・・そういう枠を超えている。応挙は前衛、アバンギャルドである。滝は音をたてて落ちているようだし、何羽もの鶴を順番に眺めてると映画みたいに動いているような錯覚に陥る。猫をモデルにして描いた(当時実在の虎を見た者はいなかった)虎はB級SF映画に出てくる宇宙生物みたいなんだが、意味不明の異様な実在感で見る者に迫ってくる。
応挙は徹底したリアリズム「実」の写実から、目に見えない気配や感覚を絵で表現しようとした「気」の写実、そして架空の存在、龍とか幽霊などを表現した「虚」の写実まで自在に描けたそうだが、これは映画の特撮の考え方に通じるものがあるのではないだろうか(ものすごい飛躍)。
大乗寺の「松に孔雀図襖絵」や「山水図襖絵」は「虚実一体空間」と呼ばれ、そこに居る人間を絵の世界へ取り込もうとする吸引力があるんだが、そうするためのリアルで周到な仕掛けがしてあるんですね。

ジェームス・キャメロン監督は『トゥルー・ライズ』の撮影で、CGとハリボテで済むはずのハリアーの撮影でも本物のハリアーを出すことにこだわったという。「最初に一発本物のハリアーを出しとけば後はニセモノでも観客は本物と思ってくれる」という発想であった。このあたり、映像の中のリアルさについてのヒントがあるのかも知れない。