1/31(土)新文芸座「攻殻機動隊」

Joetip2004-02-11

戦後の日本人が直面した問いは大きく二つある。一つは言うまでもなく「我々にとって『ゴジラ』とは何か?」であるが、もう一つは「サイボーグとは何か?」ということである。
思えば、これほどサイボーグが好きな国民が世界にいるだろうか?すべては石の森章太郎先生の「サイボーグ009」から始まった。石の森氏は「ライフ」誌に掲載されていた「サイバネティックオーガニズム」の記事をたまたま読んで「これだ!」と思ったそうだ。この海外で生まれた概念に日本人は憑り付かれ、その後は手を替え、品を替え、今日に至っている。日本サイボーグは明朗なヒーローとして描かれる事は無い。仮面ライダーでも藤岡弘は「ルリ子さん、ボクはサイボーグなんだ、人を愛する資格なんかないんです・・・」と悩んでいた。常に影があり、よそ者、はぐれ者というイメージがある。
さらに日本人は合体ロボットというジャンルを作った。永井豪先生のマジンガーZから始まったこれは機械に人間が乗りこんで戦うというもので、 常識で考えれば危険極まりないものだった。どう考えても遠隔操作した方が合理的だと思うが、ガンダムエヴァンゲリオンに至るまで搭乗タイプにこだわる。日本人は機械の中に身を投じたい、本気でそう願っているようだ。
90年ころから、若い日本人に異常なまでの清潔ブームが起こった。朝シャン、永久脱毛、腸内洗浄・・・また、電車のつり皮がさわれないとか、人の座った便座に座れないとか言い出し始め、抗菌グッズが一大市場に成長した。
そのころ、バイトの女の子に「寿司食いに行かない?」と聞いたら「わたし、寿司とか刺身とか食べれないんです」「では高級大トロでも食べないのかね」「だって〜魚ってヌルヌルしてて気持ち悪いじゃないですか〜」と言うので愕然としたことがある。なんでもサラサラ、ツルツルしたものが好きらしい。ひるがえって世間の嗜好は確かにそういう傾向にあったことに気づく。
この細菌だらけでヌルヌルベトベトしてウンコの詰まった肉体をすべて捨ててしまいたい、サイボーグ願望が蔓延していたと言っても過言ではない。
(疲れたので以下次号)