『第9地区』

監督とピーター・ジャクソンは『怪獣使いと少年』を観た事はあるのだろうか。ピージャクについてはないとは言えない。後半の展開はちょっと似てる。こちらの方は主人公のおかげで若干の希望を感じさせるが。宇宙人に通名(クリストファー・ジェファソンだっけ?)とか笑える。多分本名は人間には発音できないのだろうが。
細かい演出では大雑把でワンパターンなところもあるが(主人公あやうし!というところで思わぬ助け舟が・・・という展開多し)、やはり傑作の部類に入るのではないか。前半の『クローバーフィールド』風擬似報道もので全編通すのかと思ったら、後半思わぬ怒涛の展開でいい意味でびっくりですよ。まあ、そうなると『アバター』と微妙にかぶるんだけど。軍人キャラとか最終決戦兵器とか。
ただ『アバター』より数段上等に感じるのは、主人公のヴィカスが不器用でトロいけど人の良い人間に描かれているからだろう(首から下げているIDカードに腕が絡まるとか、さりげなく不器用振りをアピール)。前半はこの辺の主人公のトロさと宇宙人の暴虐ぶりの対比がうまく描かれている。これが後半両者の性格がだんだん変わっていく(顔つきも変わる)・・・または内面の真実が明らかになっていく演出がうまい。
基本的に登場人物はそれぞれ利己的な理由で行動しているのだが、戦っているうちに行動の理由が利己的なものから別のものに変わっていくのである。それをあまりセリフに拠らないで描いている、というか見れば分かるようにできている。そこが感動的なのである。
多くの人に観てほしいのでネタバレはしないが、ミサイルキャッチのシーンでは図らずも目頭が熱くなった。

DVD帰ってきたウルトラマン Vol.9

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