『どろろ』

どろろ (3) (秋田文庫―The best story by Osamu Tezuka)
映画の『どろろ』を観た後、書店で文庫コミックが平積みになっていたので、まんまと商売に乗せられて買ってしまう。ただし1巻は品切れしていたので、2,3巻だけ。原作を読むのは20年ぶりかなあ。
2巻は「ばんもんの巻」から。読んでみると色々思い出してきて、懐かしい想いがした。「鯖目の巻」って「ばんもん」の後だったんだな。これは意外だった。
それにしても手塚先生はやっぱりすごい、ストーリーテリングのうまさといい、人物描写のヘビーさといい・・・。百鬼丸景光との運命的な出会いのシーン、多宝丸との対決シーンの緊張感など、正直言って映画版など比較するもおこがましい程の鬼気迫るものがある。
残虐描写は容赦がない。殺された母親に泣きながらすがる子供にも容赦なく矢が浴びせられ、ハリネズミみたいになって殺されるし、百鬼丸も襲ってくる兵は2、30人くらいは平気で皆殺しにするし、人食い鮫にバリバリ食われて下半身だけ残ってるし、もうR-15指定ではすまない残虐ぶり。とにかく人が殺されすぎ。映画観てから原作を読んだ子供はショックを受けて心のケアが必要になるかもしれんぞ。
愛情とか友情、信頼といった、美しい感情が武力の前に簡単に消し飛んでしまう世界なんですよ。戦争とはそういうものだ、しかしそれでも生き続けろ、と手塚先生は言うわけ。
こうして見ると、世紀末英雄伝説マンガ『北斗の拳』も影響を受けてるのかなあとも思いました。
どろろ Complete BOX [DVD]
ちなみにアニメの演出ではあの富野〈皆殺し〉由悠季も参加。