『ロートレック荘事件』

小人の芸術家、浜田重樹(おれ)と親友の工藤忠明は懇意にしている資産家、木内文麿の別荘(通称ロートレック荘)に招かれるが、そこで美女が次々と銃で殺される、という実も蓋もない事件に巻き込まれる。
151Pまで読んだ。はっきり言って全然分からん。

これ、状況証拠からどう考えても重樹が犯人としか思えないんだが、そんな単純なわけないすよね。重樹に罪を被せようとしている?としたら忠明しかいないよね。文脈から察するに、忠明は犯罪の匂いはしないんだが・・・しかし筒井康隆のことだから、とんでもない結末が待ってるんだろうな。そもそもなぜ「ロートレック荘事件」であって、「ロートレック荘殺人事件」ではないのか。そこになにかあるんじゃないのか。
たとえば
夢オチでした。とか。犯人は作者だった。とか。
やっぱ違いますよね。
俺のおぼろげな感覚だと、やはりアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』みたいにレトリックを弄して読者をだまくらかしているのだと思っているのだが。重樹という人物について、何かを隠しているような気がする。

そこで乾いた雑巾を絞るがごとく適当に考えた案
1.重樹は二人いる。実は重樹は双子で一人はまともで、もう一人は小人。周りの人間は周知のことなので、どっちも重樹と呼んでいる。まともな方が殺人を犯し、相方に罪を被せようとしている
2.映画史に残る傑作『ミラクルカンフー阿修羅』のように、実は重樹は歩くこともできないほど重症で、常に誰かが重樹を肩車している。つまり重樹だけがいるように見えるシーンでもそういう「忠実な下僕」(この言い方が妙だ)がいる。その人間が犯人。重樹がセックスしているときに相手が気がつかないのが変だが。いや、それどころか明らかに小人でございとかおどけているシーンもあるしな。やはりこの案はダメか。
しかしどうもおかしい。冒頭の序章の文章とその後からの文章の間には大きな隔たりがある。まるで別の話の様な感じがする。

ミラクル・カンフー 阿修羅 [VHS]

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