『占星術殺人事件』

よく「SFミステリー」と一緒に語られるのだが、SFは読むが、率直に言って、推理小説というものをあんまり読まない。読んで面白いと思ったのは、有名どころの江戸川乱歩横溝正史、海外ではアガサ・クリスティくらいか?
最後の謎解きに入ると、「そんなことできるわけがないだろ!」「そんなうまくいわけがない!」とか思ってしまうのである。ミステリーのトリックというのは、あくまで小説内での話で、現実の実行とは別、と思うのが常識人のたしなみというものなのだろうが、どうにも我慢ができないのである。
その一方、SF小説の荒唐無稽な設定、頭を打っただけで過去にタイムスリップとか、山手線を一周したら自分が二人に増えていたとか、には平然としていたのだから、やはり頭がおかしいといわれてもいたし方が無いのかもしれない。
ちなみに『獄門島』は面白かった。でもこれも納得がいったのは、最初の殺人と「気違い」のトリックで、第3の殺人の方法となるともう「ええ〜?」という感じなのだが。どうも私が納得するのは「心理トリック」系のようである。
これでは常識人としてどうかと思うので、なんでも日本の推理小説の十指に入るという『占星術殺人事件』(島田荘司)を読むことにした。てゆーか今読んでます。
ああ、これは難物だ。というか過去の事件を今推理する、というのが一つのトリックなんだろうなあ。普通、誰かが犯人だという場合、登場人物の紹介があるものだが、これはもう名前しか分からない。どんな人物か、どんな顔しているのかわからないじゃん。系図の名前だけで犯人をあてるのかよ。
密室なあ・・・この小説でも言ってるけど、自殺に見せかけない密室殺人って意味がないんじゃないの?ここで主人公の御手洗が、さっき私が言っていた「そんなことできるわけがない」トリックを先に取り上げているので、なかなか挑戦的な作りだと思います。