『ローマの休日』

今更なのだが、劇場で観られる機会があったので、せっかくなので観る。
デジタルリマスター版なので、OPタイトルの脚本がちゃんと「ダルトン・トランボ」になっている。
たわいない話である。ではあるが、トランボが終生追求して止まなかった「自由への渇望」がテーマである。『スパルタカス』『ジョニーは戦場へ行った』『パピヨン』らとなんら変わることの無い作品である。
アン王女の最後の会見での、それまでとは打って変わった毅然とした態度。それは映画冒頭の靴が脱げた会見とはまったく違う表情である。彼女は王女として生きる決心をしたのである。おそらくこれからの長い人生でも、あのような一日はないであろう。そう思うと俺みたいな平民でも、自由のかけがえのなさを思い知るだろう。
ジョーは彼女を愛するがゆえにそれを認め、スクープを闇に葬る。愛するがゆえに駆け落ちしたり、王政を批判したりする子供ではない。しかし人生は別でも我々は対等だよ、と言いたげなラスト。これはやはりトランボらしい硬派の映画なのだな。