実相寺昭雄さん死去。

無常 [DVD]

俺がタイトルを変える気になったのも、何かの縁だったのかな?
あんまり悲しい気持ちは起こらなかった。やりたい事だけやって、分からない人には無理に分かってもらわなくていいよというサバサバとした感じがした。むしろ宮川泰さんの時がひどく悲しかった。
平成ウルトラマンからも、年1,2本監督をしていたが、どれもこれも映像を観にくくこねくり回しただけで「ちょっと遊んでみました」程度の作品を連発し(『マックス』の『狙われない街』はそれでもましな方だったが)、あまりにも腹が立ったので、もはや老害、引退した方がいいのでは、という趣旨の文章をブログに叩きつけようとしていた矢先のことであった。
そうは言っても『第四惑星の悪夢』の、子供の土俵で大人が本気で暴れまわったような(大人気ない)本気度は称えられるべきで、晩年も、もうちっと本気出した作品が見てみたかった。
また、怪獣ものでクラシック音楽を使うというミスマッチからモーツアルト、バッハなどのクラシック音楽に興味を持つようになった。後で分かったが、メトロン星人のところで使用した音楽は実はモーツアルトもどきであって、冬木透と言う人が作曲したオリジナル曲であることを知って、愕然としたという思い出がある。
映画では『無常』『宵闇せまれば』が良い。『無常』の日本建築、仏像の美しさは異常だった。この映画のおかげで古寺巡礼が趣味になった。当時もイロモノ扱いという感じだったが、高名な評論家である佐藤忠男さんは結構彼を評価していた。『帝都物語』の結末が『無常』と同じなのに気がついて笑ってしまったことがある。『宵闇・・・』は都市ガスを充満させた部屋で若者たちが我慢大会をするという話で、若者が我慢しながらディスカッションをする。真剣さと無意味さの同居した奇妙な味だった。今見れば失笑ものなのかもしれないが、瑞々しい映画だ。
こうして見ると、やはり実相寺氏に振り回された人生だったと言える。
というか、どういう業績が評価されて東京芸大の名誉教授になったのか知りたいのだが。