p1*第20話『果てしなき逃亡』(つづき)

一行は自動車でレオポルドビルに着いたが、当の教会には誰もいなかった。壁には生々しい銃撃の痕。落胆する009たちだが床に折り鶴が落ちているのを見つける。ベティ「あ、それはパパが作ったものだわ!」マルク師は日本人の妻に習って折り鶴をよく折っていたのである。折り鶴を伸ばすと、何かが書いてある。「ラゴスとイバダン。」008「それはナイジェリアの町の名だ。」ベティ「そういえばイバダンにパパのお友達がいるって聞いたわ。」
ナイジェリアのホテルにて。ベティはふっと下の通りを見ると、子供(黒人)が遊んでいるのを見る。一人は道にマルク牧師とその妻の似顔絵を描き、もう一人は折り鶴で遊んでいる。一人で外に出るベティ。「ねえ坊や、その折鶴をどこで?」「大学の先生のおじさんだよ。」ベティ大学へ走る。果してそこに父は隠れていた。ベティの声に気付いて窓から顔を出すマルク牧師だが、その時、敵(白人)の銃撃が!ベティはさらわれたところを009たちに助けられるが、マルク牧師はカスバへ逃亡。
アルジェリアのカスバにて。いかにも活動家と言う感じの人「残念ですがマルク牧師はもうここにはいません。」「え、じゃあどこへ。」「エジプトのカイロへ行きました。」「明日カイロで開かれる全アフリカ解放会議で、ランデシアでの人種差別撤廃を訴えるためにです。」「でもパパは悪い人に狙われているんです。」「ご安心ください、船で地中海を渡り、ナイル川からカイロへ向かいます。アルジェリア政府の好意により特殊潜航艇に便乗させてもらいましたから大丈夫です。」海中を立派な潜水艦が行く(劇場映画からの流用)アルジェリアってこんなすごい潜水艦を持っていたのか。
海上をクルーザーで護衛する009たち。ベティ平和な時代を思い出す。「ママはヨットが大好きだった・・日曜日にはパパと3人でケープタウンの沖を走ったわ・・」ランデシアってケープタウンが首都なんですか。
003「もう一つエンジン音が聞こえるわ!」008「OK、まかしとけ!」潜ると敵の潜水艦がアルジェリア艦に狙いをつけているのを発見。008、爆薬を潜水艦にくっ付けて撃破(ええ?、全員殺しちまったんですかい?)。
エジプトのカイロにて、全アフリカ会議が開催される。何万人という黒人が沿道に並んで、マルク牧師を歓迎する。TVを見て大統領あわてる。「お前ら何やってるんだ。マルクが会議に現れたぞ。マルクを消せ、奴がいなくなればあとはどうにでもなる!」マルク牧師は大変なカリスマなのである。会議が成功してランデシアに凱旋したら政府は転覆するであろう。
会議場にて議長「我々は全アフリカ最高会議の名において、南アフリカ、ランデシアにおける人種差別の撤廃と現政府の即時辞任を要求するものであります。」マルク牧師と議長握手、満場の拍手で会議は幕を閉じる。一人の女性が‘WE SHALL OVERCOME’*1を歌う。会場内、さらに外で見守る何万と言う大勢の人々に歌い継がれる。
‘WE SHALL OVERCOME’の合唱の中、父娘は再開した・・・。正直言って泣いた。本当に子供向けアニメか?
結局009たちは34年ほど早く、南アフリカもといランデシアからアパルトヘイトを撤廃させる手助けをしてしまう。ちなみにこの時代日本人は「名誉白人」という地位を南アの白人様から与えられ、商取引を続けていました。

しかしマルク牧師は夕陽の見える丘で、妻の墓前で誓うのだった。「我々黒人に本当の幸せが来るまだまだ先のことです。しかし、太陽はこんなに明るい。私は妻の死を無駄にしないでしょう。」

*1:ウッドストックで‘WE SHALL OVERCOME’を歌うジョーン・バエズ