『アウターリミッツ 完全版 1nd Season DVD-BOX 2』

Joetip2005-11-16

第29話『ルミノス星人の陰謀』
ある朝、サイモン(サム・ワナメーカー)は妻(フィリス・ラブ)に離婚話を持ちかけられていた。女は家庭にという保守的な夫に、ジャーナリストである妻は愛想がつきたのだ。車で出勤途上で悩みを友人に打ち明けるサイモン。
だがそんな家庭のいざこざや人生の苦悩は、実は彼らにとってもはや何の意味もなかったのだった。夜のうちに彼らの住む街は、まるごとルミノス星に転送されていたのだ!ルミノス星人は地球人を侵略するに当たって、奴隷に使えるかどうかのサンプルとして彼らをヒョイとつまんでみただけだった。地球では街のあった場所に巨大なクレーターができていた。
まさに米国版『漂流教室』である。前半に人々の日常が丁寧に描かれているので、それらがあっという間に崩壊してしまう恐怖が良く出ている。毎日毎日面白くもなく過ぎていく日常、そんな日々ですらかけがえのないものであることが思い知らされる。とにかく暗い話で、やはり赤狩りを逃れて一時米国を離れていたサム・ワナメーカー(監督も兼任)の思いがあるのか。宇宙人をやっつける武器もなければ、ヒーローもいない。無力な町民たちは最後に地球侵略を阻止するためにある行動をとるのだが、涙なくしては見られない。


第30話『大爆発』
レナード・ニモイが出演しているが、チョイ役で印象は薄い。ニモイは後の方の話で活躍します。主人公は原子力研究所の所長マーシャル博士(ジョージ・マクレディ)とその妻ローレル(シグニ・ハッソ)。脚本のレスリー・スティーブンスは第12話に続いて、謎に挑む科学者の飽くなき探求精神と夫婦愛を描く。
宇宙から飛来したと思しき新種の素粒子を発見したマーシャル博士は、それを原子炉に閉じ込めて観察するのだが、放射能が異常に強くなり、作業員(全員防護服)もゾンビのようになり命令をきかなくなる。顔の窓をのぞくと顔はなく、防護服の中を電光が走っていた。
どうやらこの粒子が彼らを操っているとしか思えない!そして原子炉は暴走し始め、このままではメルトダウン必至!真相の解明に頭脳を絞る博士だが・・・
研究所内に起こる異変に対し、飽くまで理論で立ち向かうハードSF。60年に発見されたばかりのクェーサー(強力な電波を放出している恒星でも星雲でもない謎の天体)の話題を取り入れている。放射能でケロイドになる作業員や、ゾンビ化した作業員の群れの怖さ、後半の大爆発カウントダウンのサスペンスなど演出も力強く見ごたえがある。強面ながら「だめだ!わからん!」「時間が足りないんだ!」と結構弱気な博士を叱咤する奥さんも迫力あり。
しかし結末はいくらなんでも強引過ぎ!


第31話『人間カメレオン』
このカメレオンという題名には二重の意味がある。今回の計画の内容そのものと、メイスのこれまでの人生とである。
ある森の中に宇宙人の乗った船が着陸している。長らく監視していた軍は彼らが何の目的で飛来してきたのか考えあぐねていた。そこで情報局の人間が提案する。「スパイを潜入させましょう。適役がいます。」
その男メイス(ロバート・デュバル)は、場末のメキシカン酒場でベロベロに飲んだくれていた。そこに後ろから忍び寄ってきた男がいきなり銃を突きつける。敵だ!だがメイスの眼光が鋭く光ると、目にも止まらぬ速さで銃を払いのけ、持っていたハエたたきの柄で男を絞殺した! 恐るべし!正にナチュラル・ボーン・キラー!殺人機械!その後ベトナム人民をナパームで焼き払っただけのことはある(違う映画)。
で、このスパイというのが、なんと人間に似ても似つかない宇宙人に変身して、宇宙船に潜入するというもの。身体を遺伝子レベルで変化させ、身も心も宇宙人になりきるというのだ!博士「猿では成功してます。大丈夫、終わったら元の体に戻します。」信用できね〜。
しかし長いスパイ生活で心が荒んだメイスはこのミッションを承諾する。
「なぜ俺が任務を受けるか、ヒーロー願望でも義務感でもない。俺の存在は任務の道具に過ぎない。任務がなければ存在しないも同然、任務のために汚いこともやったが、存在しないよりはマシだ。俺には誰もいない。愛する人も、愛してくれる人も・・・だからできることをやる、それだけだ。」
ロバート・デュバルが寄る辺ない孤独な男を演じて絶品。カウンター・カルチャー、異なる文化との衝突と融和、アメリカ社会からのドロップアウトを思わせる後半の展開など、アメリカン・ニュー・シネマの萌芽を見る。


第32話『死体蘇生器』
カーシャ(ヴェラ・マイルズ)とレオノーラ(バーバラ・ラッシュ)は父を恐喝している愛人のアンドレを湖畔で毒殺、死体を車のトランクへ入れて始末しようとするが、レオノーラは恐怖にかられて逃げ出してしまう。豪雨の中、二人が辿りつた先は大きな古い屋敷、中には謎の若者(デビッド・マッカラム)といかにも胡散臭い盲目の老執事。
若者はレオノーラに滔々と語る、私は時間を遡って死人を生き返らせる方法を発見した。私もそれで生き返った・・・レオノーラは謎の部屋に案内され驚愕する、一方、車のトランクに死体はなかった・・・
前半はまんまフランス映画『悪魔のような女』、後半は『サイコ』・・・というかジョセフ・ステファノってひょっとして『サイコ』だけの人なのか?いつもパターンが同じ。
やたらカメラワークに凝っていてホラーサスペンスとして見ればは楽しいが、別に『アウターリミッツ』でなくてもいいような話である。