『地球の危機』

しょうもない邦題だが、原題は「海の底の旅」でさらにしょうもない。
原潜シービュー号が出てくる。これをプラモで作ったことがある。68年ころのことだと思う。シービュー号はスタイルが洗練されてかっこいい、『ミクロの決死圏』のプロメテウス号に通じるものがある。まあ、前面がガラス張りというのは力学的にどうなんだ?とは思うが。
水中シーンは時にいいと思うシーンもあった、機雷のシーンがいい。他は何の工夫もなく模型の潜水艦に生きたタコをからめる、といったレベルである。しかし人間が作り物のタコに襲われるシーンは本当に水中でやっており、なかなか根性を見せる。
人間が怪物の触手にからまるというシーンがよくある。だいたいのパターンは自分からグルグルからまって「助けてくれー」とか言って自分で苦しむ、というものである。なぜかこういうシーンが好きである。演技の原点を見るからだろうか。
内容的にはなんともアメリカンな出来で、艦長は「地球の危機を救うにはこの方法しかない!」とか言って国連が止めるのも聞かず独断専行で行動する。なぜそうの方法が有効なのかの明確な説明はない。アメリカ人でもこの艦長はおかしいと思うらしく、以後この艦長は実は狂っているのではないか?という疑惑がストーリーの中心となる。しかしこの手の映画でそんな話は余計であろう。誰に感情移入していいかわからんではないか。同時期の『妖星ゴラス』の明朗ぶりと比較すると、人間不信が渦巻いてなんとも後味が悪い。ピーター・ローレが主演しているのが見どころ。