第4話「にせスパイダーマン」

Joetip2004-08-29

「俺は犯罪者なんだぜ!人なんか平気で傷つけたり殺したりする犯罪者なんだ!おれはあんたをぶっ殺してしまうかもしれないぜ!それでも英雄になりたかったらかかってきな!」ニセじゃありません、本物の方のセリフなんですが・・・一体なぜこんな事態に・・・
主人公がコスチュームを捨ててしまうこと、走る電車上の対決など、映画版と共通点がある。個人的には池上版で一番好きな話である。
前回の事件で、自分の超能力をコントロールすることに自信が持てなくなったユウはコスチュームを捨ててしまう。そして日が過ぎていき・・・
ある日、スパイダーマンが映画スターの加山年男(加山はわかるが年男は黒沢年男か?そんな人気者だったのか?)を襲撃し、重症を負わせるという事件が起きた。以前から胡散臭く見られていたスパイダーマンは完全に社会の敵となり、大衆はSDを排撃する。
ユウだけが知っていた「奴は偽者だ!」しかしユウは立とうとしなかった。「俺はすっぱりスパイダーマンをやめる決心をしたんじゃないか。だったら・・・にせスパイダーマンがなにをしようとしったことじゃない。」とギターをかき鳴らして青春をエンジョイしようとするユウ。
しかしその間も偽者の悪行はエスカレートしていく。
薄幸が板に付いてきたルミちゃんとデートの帰り、二人はデモ隊に巻き込まれて彼女を見失う。彼女が夜中になっても帰ってこないので不安を募らせるユウ。これに悪事をかさねるにせSDの報道、彼女の安否と自分にも偽者と同じ暴力衝動があるのでは、という心の揺れ、この辺の心理描写の映像的テクニックが実にうまい。
池上はこの回であらゆるマンガ技法と斬新な構図を駆使し、心理描写、迫力あるアクションシーンを描いている。
駅で辛抱強く待っているユウにまたも不安がよぎる。「結局、俺がスパイダーマンをやめたのがいけなかったのか・・・」結局ルミちゃんは戻ってくるのだが・・・そこへにせスパイダーマンが!ルミちゃんに「憎いわ!殺してやりたい!」とまで罵倒されたスパイダーマン、とうとうユウは復帰する決心をするのだった。
ニセSD探しを始める本物スパイダーマンだが、敵はかなり狡猾であることを思い知らされる。本物が姿を現すや、今度はミステリオという怪人が出現し、社会の敵SDを打倒を宣言したのだ。「われわれ都民の味方ミステリオ!今すぐスパイダーマンをやっつけてくれ!」(週刊誌の見出し)SDは完全に罠にはまってしまったのだ!
受けてたったSDは都下は清洲橋の鉄橋の上でミステリオと対決する。下はSDが倒される瞬間を待ちのぞむ観衆で埋め尽くされ、上は報道のセスナ機が飛ぶ。誰一人味方のいない中、この戦いの決着は・・・?
作品中『豹が走る』という映画が出てくるが、実際、加山雄三出演の『豹が走った』(1970年)という映画があった。靖国神社の前で銃撃戦をやらかすシーンがある。まったくあのころは何でもありだったな。