『007カジノロワイヤル』

は悪くない映画だった。正直言って、ブロスナンから始まった新シリーズの中では一番まともである。特にOPのアニメは素晴らしい出来。OPが派手なのはこのスリーズでは当たり前だが、題材がトランプということもあって品が良く、明るいイメージである。死んだ人間がカードになったりハートになったりと、スパイの生死のはかなさを表現してりしている。
話はかなり古風である。まったりしてて子供は退屈する。それでいてエロいシーンは制御されているのでなんだかなという感じである。問題のギャンブルのシーンは思った通り退屈。いくらなんでももっとスリリングに出来そうな気がするが。引いたカメラで「さらに1200万レイズだ。」と言われてもなあ。『ジョジョの奇妙な冒険』を観ていないのか?この気になればもっと派手はアクションでも加えられそうだが、スタッフがそれをしなかったのは、やはりイアン・フレミングの原作(シリーズそのもの)に対するリスペクトからだろう。しかしクライマックスのベニスはもうちょっとスペクタクルな見せ場が欲しかった。最初のアフリカの攻防を釣り合いが取れない。話は前後するが最初の、ボンドが黒人を追いかけるアクションシーンはものすごい。これでさすがに決着だろうと思うと引っ張る引っ張る。それでいて泥臭くなく、スマートな感じがするのも007流である。
エヴァ・グリーンは古風な美女で、今時の銃をぶっ放すヒロインではない。これも現代では英断だろうか?この人が出てくるシーンはみなエレガントで、特にラストでこの人でなかったら・・・と思わせるシーがある。
とにかく『女王陛下の007』以来の大人の007映画。