第21話『幻の騎馬軍団』

脚本/高久進 演出/宮崎一哉
張々湖飯店にバイトをしている立花君、彼は只者ではない。いつも肩にハヤブサを従え、仕事をしている。野良犬が食材を盗もうものなら、速攻でハヤブサが仕留めてしまうのだ。そんな立花君だが、バイトをやめて旅に出たいと言う。彼の父は戦時中、陸軍少佐で特務機関に所属しており終戦間近に密命を帯びてチベットへ向かったのである。そしてその後数人の部下もろとも消息を絶った。そして戦後20年経っても行方は杳として知れなかった。
「私はこの謎を解いて、父の生死を確かめたいのです。もし死んでいるのなら、20年も異郷の地に眠る父の遺骨を日本に持って還ってやりたいのです。」9367の4人に別れを告げるのだった。
立花は父のルートを辿って中国の奥地、黄河の上流を歩いていた。中国人の陳、探検家のパーカーの3人で進んでいた。奥地の老人が探検隊が通過したことを覚えていた。「ピラミッドのことを訊いた。」「チベットにピラミッド?」老人によれば砂漠の中にミスラムのピラミッドというのがあって、見たのもは死ぬ、らしい。パーカー「私はそのピラミッドを探してのだ。その中には不老不死の薬があるという。それを手に入れば俺は世界一の大金持ちだ!」すると日本はそれを知って立花少佐を派遣したということか。敗戦間際になぜ?命令の大元は大元帥閣下か?
その夜、パオで露営していると・・・闇の奥から馬のひずめの音がする。そして姿を現したのは、なんと!ヨーロッパ風の騎士軍団だった。
張々湖飯店にてのんきに飯を食っている003と007。普段は暇なんですね。そこにハヤブサが飛び込んできた。録音テープを掴んではるばるチベットから飛んできたのだ(マジかよ)。立花の危機を知った009たちは早速中国の奥地へ飛ぶ(無許可で)。文革の最中に大丈夫なんでしょうか。
いろいろな障害を乗り越え、9367の4人はピラミッドにたどり着く。ピラミッドというか、アンコールワットの塔みたいな感じだが。どういうわけかヨーロッパ中世風の騎士が守っている。潜入には成功したが003が捕まってしまう(このシリーズで003があ、あそこに何か見えるわといった時にはもう敵がすぐ近くに来ていたり、トラップを見抜けず自分の身も守れないなど能力に意味がなかったりする)。
騎士たちは兜をとるとただの人間だった。彼らはサイボーグに興味を持ち、003を解剖することにする。そこに神々しい光に包まれた「王女」をが現れるのであった。「この方は5000年前からこのミスラムのピラミッドを守る王女様である。」と初老の男が紹介する。王女は輪郭が白く描かれており、ぼうっと浮き上がった感じが出ている。「5000年前?」ミスラムの不老不死の秘薬のおかげか。003の顔に王女の爪が迫る!
そこへ009たちが駆けつけ、003を奪還する。この場を制圧した009だが、行方不明になった人々の行方訊く。なんと捕まった人たちはみな冷凍室で氷付けになって冬眠していた。「立花さん!」の声に男が反応した。「なに、なんと!立花?」お約束だが、初老の男は立花の父だった。「吹雪で凍死寸前になった私たちは、王女様に秘薬にて生き返った。それ以来私たちは一生王女様と秘薬をお守りしようと決心したのです・・・。」冷凍から覚めた立花は、奇妙な場所で父との再会を果たしたのであった。
チベット×ピラミッド×騎士×日本兵と挑戦的なまでにアンマッチの連続だが、それにしてもあの王女の正体は、ピラミッドの文明はなんだったのか、最後まで説明はなかった。
大東亜戦争で、復員できず戦後その土地に居ついてしまった兵士は少なからずいるんですよね。また満州での残留孤児など、戦争で引き裂かれた家族の悲しみをアニメで垣間見た想いです。
脚本の高久進は『吸血鬼ゴケミドロ』の人。