ピーター・ジャクソンの『キング・コング』

簡単に言うと『三丁目の夕日』→『タイタニック』→モルドールの黒門→『ジュラシック・パーク』→ムシムシキング・・・といった展開。

堂々たる語り口。そして、美しい映画。冒頭の30年代のューヨークの短いカットの積み重ね、船上で海を背にしたナオミ・ワッツのアップ、海に沈む夕日を眺めるキングコング、という絵の美しさ。
3時間あったのか・・・。もう神話的な語り口が板についてちゃいましたね。もう誰もが結末を知っている物語なので、いかに語るか、ということのようですね。
冒頭から髑髏島の攻防までは完璧。ニューヨークへ行ってからはちょっとだれる。暴れ足りない。窓から覗かないし、鉄道襲わないじゃん。路面電車くらいでは納得いかん。それとも例によってスペシャルエディション待ちか。すごいのはニューヨークは雪が降っているという設定で、コングは走るといちいち滑って足をとられるという(そんな設定にする必要もないのに)描写も丁寧に描いていることだろう。
今回は33年版の狂暴極まりない存在と76年版の可哀想な存在をどう克服するかという難問があったわけですが、うまいこと乗り越えている、と思いました。あえて言葉で説明しないという戦略で。
怪獣や気持ち悪い生物やオークが出てきますが、スピルバーグのようにワっと脅かす演出はない。それらは当然のようにそこにいる。そんな演出です。
キングコングジャック・ブラックの顔がいい。