『アウターリミッツ 完全版 1nd Season DVD-BOX 2』

有名作品のモトネタはこれだ?


第19話「肉体の侵略」
ある権力者が足のつかない食い詰め者を集めて訓練し、なにやら妖しげな陰謀を企てる。プータローを装ってこの組織に潜入した政府のエージェント、スペイン(ドン・ゴードン)はその訓練所でとんでもないものを目撃する。
筒井康隆の短編で、背中に乗っけて寄生させると頭がよくなる(その代わり見た目はセ○シみたいになってしまう)という宇宙生物の話があったが、なんかそのモトネタじゃないかと思わせる。いちいち当人を呼び出して背中に乗せなければならないのだから、効率が悪い。これでは世界制覇の道は遠い。
前半、陰鬱な訓練所、後半は明るいワシントンDCと、大胆な場面の切り替えが面白い。
ここでもコンラッド・ホールの映像が冴えている。特に前半の微妙な明暗のトーンがいい。いかにも怪しい秘書ディック・ドーソンのキャラもいい。


第20話「宇宙への架け橋」
これは世間では並の作品ということになっているのだろうか。あまり話題にならないが印象深い作品。とにかく主人公のジュディス(サリー・ケラーマン)の行動が浅はか過ぎる。それゆえ返って現実味があるように思える。
真面目だがレーザー開発の研究一筋で予算を食いつぶしているリチャード・ベレロ(マーティン・ランドー)は強欲な資産家の父親(ニール・ハミルトン)、野心満々の妻ジュディスの双方から疎まれている。
しかし、ある日彼が宇宙に放射したレーザー光線から、見よ!宇宙人がスルスルっとつたって降りてきた(んな馬鹿な)。宇宙人はサーフィンのごとく電磁波に乗って星から星へ渡り歩く、言わば宇宙のバックパッカーみたいな人だった(いい身分だ)。リチャードはすっかり宇宙人と仲良くなって打ち解けるが、ジュディスは宇宙人が護身用に持っている道具に目をつける。それはどんなものも寄せ付けない(おそらく核兵器でも)無敵のシールド発生装置だった。権勢欲に駆られた彼女はそれを横取りしようと企むのだが・・・
シールドと言っても、プラスチックかアクリルの透明な板がパっと前に現れるだけの安上がりなものである。こんなワンアイデアだがS・ケラーマンの迫真の演技もあって、後半は「こういう死に方だけはしたくない」と言いたくなるような恐怖を味わせてくれる。
この作品が優れているのは、現実のシールドと、夫と妻、父と息子、人間と宇宙人、の間にある人間の心のシールドとがちゃんとリンクしていることであろう。結末は自業自得と言えばそれまでだが、夫を愛すればこそやったことだとも受け取れるので、やるせない思いがする。
脚本は『サイコ』のジョセフ・ステファーノ。


第21話「宇宙人の落とし子」
だからこの邦題ネタバレだろ。
天才的科学者として各界の重要なポストに就いていた4人の若者がほぼ同時に失踪する。調査の結果、なんとこの4人は同じ村に同年同月同日に生まれてることが判明。しかも父親は失踪し、ミドルネームは全員エロス(ちょっとやだな)。幼い頃から知能が高く、特殊な才能があった。問題のスパイダー村に残っている5人目の男イーサンの存在を突き止めた宇宙局のジョンは彼に会おうと村に赴くが、彼は殺人容疑で拘留されていた。そして村の周辺では謎の人物が暗躍する。
しかしどこかで聞いたことがあるような話である。ひょっとして『アストロ球団』のモトネタか(違う)?
それはそれとして、他の4人はエリートとして成功してるのに、同じ能力があっても周囲のイジメや無理解でダメになってしまう人もいるという結構シビアな話でした。エロス星人の価値観がはっきりしないので、物語としては今ひとつの印象。後半は恋人との逃避行と、アメリカン・ニューシネマみたいな展開もなんだかなあ。