北岳(3192m)登山

Joetip2004-07-27


22日広河原山荘。
23日4時出発→6時:崩壊地点→8時:大樺沢二股(30分休憩)→11時:八本歯ノコル(30分休憩)→14時:北岳山荘
24日4時:北岳山荘出発→6時:間(あい)ノ岳山頂→8時:北岳山荘(30分休憩)→10時:北岳山頂(30分休憩、食事)→12時:北岳肩の小屋→12時15分:小太郎尾根分岐点→14時:白根御池小屋→15時:広河原山荘

春先の多忙がウソのように消え、夏は結構休みが取れたので、なんだかんだあって登ったことがなかった日本第二位の高峰、『マークスの山』の舞台(一応映画で関連付けてみる)北岳に登ることにした。
前日に甲府からバス(ついこの間の17日まで不通だった)で2時間で広河原山荘へ。広河原山荘は南アルプス市(すごい名前だな)市営の山荘でシャワーつきの清潔でいい雰囲気である。なんと夕食にワインが出るのであった。
北岳は単純なルートで迷うことはないが、標高が高いだけあって登りはきついです。大樺沢二股あたりから雪の残る沢を伝っていくのだが、角度が45度ぐらいのところを10kg(その内2kgは水)のリュックしょって登るんだから、もう進まない。5分上って5分休むという感じ。まあ映画ファンの人には『アギーレ 神の怒り』の冒頭のシーンの縮小版と言えば想像がつくだろうか。こんなんで大丈夫かと思ったが、回りの人も似たようなペースなので後退しなければいつか着くだろうというくらいの気分でタラタラ進む。河原にはまだ雪渓が残っているのだが、一向に涼しくならない。もう標高二千m以上のはずだが、まぶしい!太陽が。それでもかの有名な大樺沢バットレスの巨大な断崖が見えると異常に興奮してくるのだった。この辺までくるともう絶壁になってて、ハシゴの連続。しかしこれを乗り越えると「八本歯」からは北岳の頂上が見え、足元には美しい高山植物が植えたみたいに見渡す限りに生えているのだ。
午後になるとガスがかかってきて展望が効かなくなったのは残念だが、ここから北岳山荘までは楽である。「八本歯」から北岳山荘までの登山道は高山植物の宝庫である。噂には聞いていたがこんないすごいとは思わなかった。仙丈ケ岳、甲斐駒など南アルプスは結構見てきたがこれほどの大群生は初めて見た。人間は臨終の時、目の前にお花畑が見えるそうだが、こんなんじゃなかろうかと思った。
普通に歩けば1.5時間で行けるところを2時間かかって北岳山荘へ到着。北岳山荘は女子大生のバイトさんが笑顔で迎えてくれる、布団、診療所、水洗トイレ付き150人収容の村営巨大山小屋。食事も弁当も出してくれます。内容もかなりいいです。
山小屋の問題はイビキだよな・・・やはり耳栓が必要か。午前3時に起床してのそのそと準備して4時には出発態勢に。とはいうもののまず最初に上るのは北岳とは反対の方向の間ノ岳(3189m)なので軽装でOK。なぜ間ノ岳かと言えば、北岳の眺望が素晴らしいのといわゆる百名山をちょいとでもクリアできるから。途中4時30分くらいで日の出。やはり美しい。また、仙丈ケ岳、甲斐駒、北岳がワンセットで見えるのは壮観。もちろん富士山、北アルプスも見えました。
間ノ岳から帰って今度は北岳山頂まで1時間・・・またまたハシゴだ。絶壁みたいなところを登るといよいよ山頂へ・・・10時ごろだと思うが、もうガスが発生して眺望がなくなる。しかし山頂は高校生やらなんやらで賑わっていた。
ここからは別ルートで下山するばかり。だが北岳は下りもきついのだった。特に歳を取ると下りが応えるんだよな。足が痛い痛い。
さ、帰るか、という段になってなんとバスが満員で乗り切れない・・・!てっきり増発があると思いましたが、ピーク時なんだし。10人くらい取り残されたが、やむなく最終便まで待つ。しかし特急指定席を買っちゃった人もいるわけで・・・山梨交通の人は平謝りでタクシーを呼んだけど、いくらタクシーでもすぐ来るものでもなし。結構険悪な雰囲気になってたな。
私なんか気楽だから山なんてある程度不便なくらいなちょうどいいと思ってるのでしょうがないかな、とも思う。確かに以前この辺に来たときもこんなトラブルがあったような気がする。北アルプスに行ったことのある人によると、南アルプスは交通にしても山小屋にしてもかなりサービスが悪いらしい。一説によるとこれは環境保護のための事実上の入山制限ではないかとも言われている。確かに今以上に交通の便を良くして、どっと観光客が来たら今の山小屋で賄いきれるかといえば、難しいところだろう。だいたい今、登山ブームを支えている中高年の人が登れなくなったら、今度は登山客が激減し、管理が立ち行かなくなり、かえって自然の荒廃がすすむかもしれない。長い目(そんなに長くないが)で見ればそちらの方が問題かもしれない。