第26話『平和の戦士は死なず』(つづき)

「しまったぁ!」「あはははは。遅い、もう遅いぞ!009。」慌ててジェットに乗り込み、発進する。
「009よりギルモア博士へ、パブリックがミサイル発射寸前です。全力を尽くして阻止します。博士はウラーのミサイルの発射を止めてください!」
コルサコフ首相TVで拳を振るって声明。傍らに笑う人形。
ドルフィン号は至急ウラー同盟に進路を取る。艇内は1345678のベストメンバーが乗り込んでいる。002は先に空を飛んでいく。
大気圏外からパブリック共和国へ向かう009。
オバQの声で)「遅い、遅いぞ、サイボーグ!貴様がいかにあがいても無駄だ!未来永劫、私は勝つのだ!」
「神様、初めて貴方に祈ります・・・僕が着くまでボタンが押されませんように!」
ミサイル指令センター。
ボタンを凝視するネビル。「キャサリン、許しておくれ。」
背後の指令室が紅蓮の炎の空間と化す。その中に血まみれのキャサリンが立っている。
「これがパパのお仕事だったのね・・・。」
「祖国に忠誠を尽くすのが軍人なのだ!」すでに10個点灯している。
「パパ!やめて!」
震える手でボタンに手をかけるネビル。16個のランプが点灯する。
とうとう運命のブザーが鳴った!
「やめてー!」キャサリンが血まみれの手を差し伸べる。
ボタンにネビルの手が。
「パパの人殺しぃー!」
ボタンが血にまみれている。
ネビル「うわあー!」
若い士官「どうしたんです、少佐!ブザーはもうとっくに鳴っている!何をしているんですか!」呆然としているネビル。
代わりにボタンを押そうとする士官。
「待ってくれ!」その腕をむんずと掴むネビル。
「何故です、大統領命令だ!」
「しかし、今このボタンを押せば世界はおしまいだ!」
やられる前にやる!攻撃は最大の防御です。大統領もそう判断されたに違いない!」
待て、いくら義務だからと言って何千何万という罪の無い人々を犠牲にすることはできん!・・・・」
机の上の人形が右腕を上げ、撃つ仕草をする。
・・・・・それが我々の義務だと言うならそれはおかしい!何かが間違っている、何かが!」
         ズギューーーーン!
「うう・・・」ネビル腹を押さえる。士官が撃ったのである。
ネビル崩れ落ちる。苦悶と哀しみの表情。
終わった・・・・ささやかな良心は滅び、磐石な悪が栄えるのか。
そこへ一足遅く、009が乱入する。
009「待て、押すな!」あっさりボタンを押す士官(加速装置は?と一応つっこみ)。
「馬鹿!」009、士官を張り飛ばす。
外の広大なミサイルサイロのミサイルの一台が始動する。
士官「ウラーのスパイだ!撃てー。」
猛スピードでミサイルへ突進する009。今しも噴煙を上げて離陸するミサイル。地面を離れたミサイルに、009は飛びミサイルの胴体にへばりつく。そのまま飛んでいくミサイル。
009、ミサイルにへばりつきながら、尾翼を操作して進路を変える。ミサイルは大気圏外に向かっている。
その先には例の人工衛星がある。
「いたな、悪魔、今その悪の巣を吹き飛ばしてやるぞ!」
(ハットリ君の声で)「ふん、ご苦労なこった。すでに私は悪の芽を世界中に撒き終わった。それに引き換え、貴様は死ぬ。この宇宙の片隅で、惨めにひっそり、体も魂も粉々になって砕け散る・・・・哀れな人間よ!」
「あいにくだが、僕の魂は滅びやしない。僕が死んでもサイボーグの仲間がいる。いや、地球人類50億がいる!覚悟しろ、悪魔ぁーー!」
009、ミサイルに乗ったまま人工衛星に突っ込む。
大爆発。人工衛星は跡形も無く消滅する。
宇宙に投げ出される009。
「終わった・・・さようなら、フランソワーズ、さようなら、ギルモア博士・・・」
002「009、しっかりしろ!」急上昇する002。「002か!」
地球に落ちていく009。
「009、最後の一秒まであきらめるなよ!」
「ありがとう、でも間に合うまい・・・大気圏だ、あと30秒もつかどうか・・・」
009の服が燃え始める。
「くそ、マッハ6。限界だ。」
「002、無理をするな。」
「空気で服が燃え始めた・・・ええい、これくらい!」
「地面が見えてきた・・・002、さようなら!」
「マッハ6.5・・・・神様!」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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             おわり
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